日本語にも大和言葉と漢語があるように、韓国語にも韓国語固有の固有語と中国語に由来し韓国語に土着した漢字語があります。「山」という語を例にとって見たとき、「やま」は大和言葉ですが、「サン」と言うと中国語から輸入した漢語になりますよね。
では、手元に日韓辞典がある人は「やま」を韓国語で何というか調べてみてください。「산って言うに決まってるじゃないか」と言われそうですが、その通りです。ですが、私が探して欲しかったものは、산以外にもう一つあります。それは산の固有語です。산は中国語から借用してきた語ですから、これは固有語ではありません。(登山が大好きな韓国で、山の固有語がなぜ無いのか疑問に思ったことは無いでしょうか)
おそらくどの辞書でも산の固有語を見つけることはできないはずです。それは산の固有語は現代韓国語からは姿を消してしまったからです。
ここでもう正解を言ってしまいますが、산の固有語は「뫼」になります。優れている韓国語辞典や韓日辞典なら뫼と引くと「山の古めかしい語」などと出るかと思います。もし뫼で出なかったら「메」で引いてみてください。
ほとんど使われなくなった뫼ですが、現代韓国語でも一部の単語の中でひっそりと生き続けていることがあります。その代表格が멧돼지(イノシシ)です。돼지はブタですが、멧って何だろうと疑問に思ったことはありませんか?実はこの멧というのは「山」という意味だったのですね。しかも古めかしい表現で山です。멧갓(伐採禁止の山)、멧부리(山頂)、멧새(山の鳥)や、他にも두메(山里)という語や메숲지다(山に木が鬱蒼と茂っている)といった語に뫼の面影が残っています。
複合語は古い形を残すものなのですね。